「日本酒を英語で学べる資格があるらしいけど、どんな内容なんだろう?」
そんな疑問を持つ方に向けて、本記事では J.S.A SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL について解説します。
私は2023年に J.S.A SAKE DIPLOMA と J.S.A SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL の両方を同時に取得しました。
受験準備を通して感じた日本版と英語版の違いをもとに、この資格の魅力とメリットをお伝えします。
J.S.A. SAKE DIPLOMA INTERNATIONALとは?
JSA SAKE DIPLOMA INTERNATIONALは、日本ソムリエ協会(Japan Sommelier Association/JSA)が運営する、日本酒を英語で学ぶための国際資格です。
もともとJSAは、ワインソムリエやワインエキスパートなど、飲料の専門資格を提供している団体。
その中でも「SAKE DIPLOMA」は、日本酒に特化した専門資格として2018年に誕生しました。
その国際版にあたるのが、SAKE DIPLOMA INTERNATIONALです。
試験はすべて英語で実施され、海外で日本酒を発信したい人や、インバウンド需要に対応したい飲食関係者に人気の資格となっています。
日本語版と英語版の違いをわかりやすく比較
同じ「SAKE DIPLOMA」でも、日本語版とINTERNATIONALでは試験方法が少し異なります。
以下の表に、主な違いをまとめました。
| 項目 | 日本語版(J.S.A SAKE DIPLOMA) | 英語版(J.S.A SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL) |
|---|---|---|
| 試験日 ※2025年日本で受験した場合 | 一次試験:7/15〜8/26の間で自由に選択 二次試験:10/6 | 一次試験+二次試験:10/5(同日開催) |
| 一次試験内容 | CBT方式の選択問題(60分) | 筆記テスト(60分) |
| 二次試験内容 | テイスティング(30分) 論述(20分) | テイスティング(40分) 論述(20分) |
| 言語 | 日本語 | 英語 |
| 試験会場 | 一次・二次が別日で、一次はCBTで会場は全国にあります。二次は16の都道府県から選べます。 | 一次・二次同日で、会場は東京と大阪のみ。 |
| 難易度の比較 | やや高い | 日本語と同程度またはやや易しい (ただ英語力は必要) |
テキストの内容は基本全て同じですが、試験方法が若干異なるので注意が必要です。
特に一次試験は英語の方は選択式ではないので、英単語の綴りを正しく書ける必要があります。
受験可能な国・地域一覧(2025年時点)
現在、SAKE DIPLOMA INTERNATIONALは2025年時点で、8か国で実施されています。
日本国内だけでなく、海外主要都市でも受験できるのが大きな特徴です。
| Location | Organization |
|---|---|
| 🇯🇵日本(東京・大阪) | Japan Sommelier Association |
| 🇨🇳中国 | Hong Kong Wine Academy |
| 🇹🇼台湾 | La Marche |
| 🇸🇬シンガポール | The Beverage Clique Academy |
| 🇺🇸アメリカ(ロサンゼルス・ニューヨーク) | Sake School of America |
| 🇩🇪ドイツ | Sake & Shochu Academy Europe |
| 🇬🇧イギリス | International Sake School |
| 🇫🇷フランス | L’École des Maîtres du Saké Paris |
この表を見るだけでも、いかに日本酒が海外から注目されているかが感じられますよね。
試験概要と構成
J.S.A. SAKE DIPLOMA INTERNATIONALの試験は、筆記とテイスティング/論述の2部構成です。
筆記試験
日本語版とほぼ同じ内容が英語で出題されます。
選択式ではないため、細かい数字の主題は若干少ない印象。
また答えもシンプルになっているので、日本語のテストより少し易しいと感じました。
しっかり勉強していれば答えられる内容です。
筆記試験対策でおすすめなのが、こちらのKindle版の問題集。
まずは、こちらを選択肢を見ずに答えられる練習をすると良いと思います。
テイスティング試験/論述試験
テイスティング試験
二次試験のテイスティングでは、出題される日本酒と焼酎を実際に味わいながら、与えられた質問に答えます。
2023年に私が受験した際の指示は以下の通りでした。
- 日本酒(1~4)
- 出題される飲料(日本酒など)を実際に味わい、香り・味・余韻・特徴を選択肢から選びます。(英語版ではマークシートではなく、番号を丸で囲む形式でした。)
- 選ぶ用語の数が決まっているので、指定以上に丸をつけると不正解になります。
- その後、飲料に関する質問が出されるので、該当する答えを選びます。
- 焼酎(5、6)
- 焼酎の原料を特定し、質問に答えます。
論述試験
英語版でも短い論述(Short Essay)が出題されます。
こちらの難易度は、日本語の論述試験と同程度の印象。
例えば「Describe the characteristics of a Junmai Daiginjo sake」などのテーマに沿って、英語で200語程度で記述します。
私自身も文法に完璧さはありませんでしたが、問題なく合格できました。
英文法の多少のミスは許されると思います。
英語で受験するメリット
「日本語で受けられる資格があるのに、なぜ英語で受けるの?」と思う方も多いかもしれません。
ここでは、あえてINTERNATIONAL版を選ぶメリットを紹介します。
英語で日本酒を説明できるようになる
海外の飲食業界や観光業では、「日本酒を英語で説明できる人材」はまだ少数。
英語で資格を取得することで、世界のどこでも日本酒を紹介できる力が身につきます。
国際的な信頼度が高い
英語で実施される資格のため、海外のレストラン・酒蔵・インポーターにも認知されています。
「WSET Sake」などと並ぶ国際的な評価を得られるのが強みです。
キャリアアップ・発信活動に役立つ
海外展開を考える酒蔵関係者、英語でSNS発信をしたい人、
観光業界やインバウンド接客に携わる人など、活躍の幅が広がります。
受験に向けた準備と学習のコツ
資格の内容は日本語版と近いため、日本語版のテキストで基礎を固めてから英語で学び直すのがおすすめです。
- JSA公式テキスト(英語版)を読み込む
- 重要単語をノート化して日本語と対訳を作る
- 英語でテイスティングコメントを書く練習をする
また、英語に不安がある方は、TOEIC700点程度のリーディング力を目標にすると安心です。
まとめ
- JSA SAKE DIPLOMA INTERNATIONALは、日本ソムリエ協会が実施する日本酒の国際資格
- 日本語版との違いは「試験言語」と「目的」
- 英語で日本酒を語れるスキルが身につくため、海外での活動や発信に強い
英語力を活かして日本酒の魅力を世界に広めたい方には、まさに最適な資格です。
日本語が好きで、英語力もある程度ある!という方はぜひ挑戦してみてくださいね。

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